もぎりは一日にして成らず

私が「劇場案内係」だったのは30年ほどですが、その期間に集めた、チラシ/プログラム/チケット(観劇済みのもの)/演劇冊子 などはものすごい数になっており、整理をと思いつつもほとんど手つかずで……
プログラムは、東宝に勤務している時は古い廃棄になるものもいただいてきたので、たぶん昭和45年(1970)の「スカーレット ~風と共に去りぬ~」が一番古いのでは、と思います。もう半世紀以上前のものですね。
そのようなものもまあまああり、故に大変な物量になっております。
少しずつ整理はしておりますが、数が数ですから、恐らく2000点ではきかないと思われ、その中からブログに載せたいものを探し出すだけで「青息吐息」の状態です、やれやれ。

さて、そんな中見つけたのが、なんとBunkamuraオープンの時に使った劇場案内係研修用のチケットでした。
<Bunkamuraオープニング企画>となっていますね。
券面から見るに「ぴ○」社さんにお願いして、それ専用に大量に作っていただいたと思いますが「ホール案内教習用チケット」と印刷されています。
オーチャードホールのものも作成したので「ホール案内」となっているんですね。
色も褪せ、付いているクリップはサビていて、年月の経過を感じさせます。

チケットを劇場玄関で切る「もぎり」係は、ただ切っているばかりではなく、その公演のその回のチケットであるか(入場の可否ですね)を確認しながらもぎり、と同時に客席階数や場合によっては扉番号までご案内しますので、まあ熟練の案内係があたることが多いです。勤務経験の浅い案内係があたることは、基本的にありません。
しかし、この時ばかりはそうはいきません。Bunkamuraのオープンでしたから、案内係全員が新人でした。

基本的に「もぎり」係の研修は、ダミーのチケットで行います。
切り方の研修も行いながら、チケットの「入場の可否」を確認できるような目を養います。
ダミーチケットの中に、数枚 他公演のチケットを混ぜておき、それを繰り返し繰り返し根気よく研修します。チケットの表面を全部見ていたのでは確認に時間がかかるので、こことここを見て、と見るポイントを指し示し、最初は時間がかかってもいいからちゃんとポイントをチェックして、と教えます。
研修している間に、少しずつもぎる時間が短くなってきますので、同時に客席階数/扉案内も加えて研修していきます。どんどんハードルが高くなっていくわけですね。

今はチケットは半券部分を一度折って、それからもぎる劇場がほぼほぼですが、私が勤務している頃は、折らずにスパッと切り離し、おまけに券面は正面をお客様に向けてお返しするということもやっていました。

実際に本番になりますと、オーチャードホールとシアターコクーンの開場時間が重なっていることが