中日(なかび)とは一本の劇場公演の半分終わった日、折り返しの日、ということですが、今ではほとんど聞いたことがありません。
芸術座に関わっていた頃、中日には公演主役【座長】から、差し入れをいただいていました。
公演が開けた初日はその日の終演後、「これから千秋楽までよろしくお願いします」と主催者がちょっとした乾杯の会を開くことはございます。
中日は、その折り返し日に座長から「折り返しの中日になりました。ありがとうございました。千秋楽までどうぞよろしくお願いいたします」と、スタッフを労ってくださる日であり、よくいただいたのは「中日」の熨斗(のし)の掛かった「稲荷寿司」や豪勢なお菓子などで、ど~んと控室に届いたものでした。
芸術座は基本的に一本の公演が2ヶ月でしたので、初日が開けて1ヶ月経つと中日ということですね。
食べ物の話はさておき、中日辺りになると、どの芝居も、必ず必ず「間(ま)」が変になりました。
なんででしょうね、明らかに昨日とペースが違う、間が違う、と判ります。
客席内で見ている私たち劇場案内係も気が付くくらいですから、演じていらっしゃる役者さんたちは如実に感じていられたのではないでしょうか。
間の違いを立て直そうとされているようですが、うまく行かない。
間の違いだけではなく、突然セリフが出てこず、あたふたされるシーンもありました。
昨日まではなんともなかったのに、なんでだろう…… やはり、劇場にはなんか棲んでいるのかもしれませんね (笑)。
そんな中、控室で劇場案内係は美味しいお稲荷さんや帝国ホテルのケーキなどを頬張って、「中日っていいね」などといっておりました。

芸術座