個人情報の規制がそれほど厳しくない頃、劇場からみなさまにお願いしてお書きいただいている「アンケート」を読んで、たくさんのお礼状やご案内のハガキを出させていただきました。
それは、どういうことかと申しますと……
毎日必ず、お書きいただいたアンケート用紙には目を通します。
その中で、劇場案内係さんがよかったよ、とでも書いてあろうもんなら、ありがとうございました、私どもの励みといたします、とお礼のハガキを出しました。
それ以外に、例えば「クロークを探したがなかった、残念でした」といただいたら、「クロークは各劇場(新国立劇場は 3劇場 ございます)に設けてございますが、ご案内版の位置がわかりにくかったでしょうか? 次のご来場時にはインフォメーションにお立ち寄りいただければご案内させていただきます」と書きます。
要は表(舞台から奥は「裏」と申します)に関わることは、全部お便りをしたわけですね。
クレームだったりももちろんあるので、それは出来る限りお調べをして、それを踏まえてお詫状だったり、その時の事情を説明したものをお出ししました。
パソコンも普及し、ハガキもwardで書き印刷してもよかったのですが、私は拙いですが自筆で書いておりました。
さて、これでおしまいかと申しますと、実は違っていて、お便りを出したお客様はほとんどの方が「お返事」をくださいました。
みなさま、「アンケート、読んでるんですね」と書いていらっしゃいました。
そうかー、不特定多数のご来場者からいただく「アンケート」は、必ず目に留まる、というものではないようにお感じになられていたのでしょうか。
もちろん、「お返事」だけではなく、私は「またぜひご来場くださいませ、お待ちしております」と文を結んでおりましたので、直接劇場のインフォメーションにお運びくださった方もいらっしゃいました。
「お手紙ありがとう」とおっしゃってくださるので、「あ、あの時の」と判ります。
嬉しかったですね、本当に。
その頃のハガキは1枚「50円」でしたから、ひょっとしたら「また行きたいな」と思ってくださり、劇場に足を運んでいただいたお客様もいらっしゃったかも。
ハガキ1枚のことですが、これが営業に繋がった!?かもしれません(笑)。